近年、文部科学省の方針に基づき、全国で「部活の地域移行」が進められています。
背景には、長年指摘されてきた教員の負担問題があります。
実際に私も、公立中学校の先生から「部活がいかにワークライフバランスを圧迫するか」を聞いてきました。ですから、この流れ自体には賛成です。
では、我孫子市ではどう進めようとしているのでしょうか?

我孫子市の企画:週末祝日の「マルチスポーツクラブ」
市の案内によると、まずは以下のような形です。
- 平日の部活はそのまま存続
- 週末の部活は「土日いづれか3時間」
- 週末祝日に「マルチスポーツクラブ」を実施
ゆくゆくは、平日も含めて「地域クラブ」に移行したい、という方針です。
ただし、我孫子市が想定する「地域クラブ」は、「楽しむ·体験すること」を目的とした活動であり、試合や大会は行いません。
なぜ「部活の地域クラブ移行」は矛盾するのか?

問題は「目的の違い」にあります。
多くの運動系の部活は 「試合で勝つこと」 を目的にしています。
一方で、市の想定する「地域クラブ」は 「楽しむため」 の活動です。
つまり、目的が全く異なるのです。
そのため「部活=地域クラブへ移行」というコンセプトは破綻しています。
- 試合で勝ちたい子 → クラブチーム へ移行
- 楽しみたい子 → 地域クラブ へ参加
このように、子どもの目的別に受け皿を分ける必要があります。
マルチスポーツクラブの課題
我孫子市が進める「週末のマルチスポーツクラブ」。
ですが、運動部の生徒は週末に 練習試合や大会 があるのが普通です。
それなのに、部員がわざわざ試合を休んでマルチスポーツクラブに参加するでしょうか?
…現実的には難しいでしょう。
もし部活生を対象にしているなら、これは税金の無駄遣いになる可能性があります。
本当に必要なのは「クラブチーム移行」の支援
では、どうすればよいのでしょうか?
答えは、運動系の部活を クラブチームに移行できる仕組みづくり です。
クラブチームには経験者のコーチがいて、レベルも高いですが、その分 お金と時間がかかる という課題があります。
- 入会費・月謝・ユニフォーム代
- 親の引率や当番の負担
これらが「部活からクラブチーム移行」の最大のハードルです。
※ 卓球やバレーなど、クラブチーム文化が浸透していないスポーツもあります。クラブチームに移行するには、スポーツ毎の対応も必要です。

解決策:海外の事例から学ぶ

海外では、親の「お茶当番」や「用具当番」はありません。
代わりに、有償スタッフがその役割を担っています。
日本でも、この仕組みを取り入れれば、親の負担は大幅に減ります。
外注したら、月謝がいくら増えるかを試算してみました。👇

さらに、経済的に厳しい家庭には市や国の補助が必要です。
例えば就学援助率(10〜15%)と同程度の家庭を対象に補助すれば、子どものスポーツ格差を埋めることができます。
また、中古スポーツ用品の譲渡会や中古ショップの活用も有効です。
例えば、フィギュアスケート文化が浸透しているカナダ。日本ではお金のかかるスポーツというイメージがありますよね。カナダでは中古スポーツショップが点在しており、数千円でスケート靴を購入できるので、誰もが気軽に競技を楽しめる環境があります。我孫子市でも応用できるはずです。

イギリス系の学校に学ぶ「目的別の活動スタイル」
実際に、目的ごとに活動を分けてうまく機能している例があります。
私の知るイギリス系の学校では、課外活動が「競技志向」と「楽しむ志向」に完全に分かれています。
- 競技志向
- 厳しい練習、専属コーチ
- トライアウト(選抜)に合格しないと参加できないことも
- 平日も週末もコミット必須
- 月謝は高めだが、その分確実に力がつく
→ 日本のクラブチームと似ています
- 楽しむ志向
- 週1回、1年に最大3つまで登録可能
- コストはほぼゼロ
- 顧問の先生は「そこにいるだけ」で、専門的な指導はしない
- 友達と自由に活動できる雰囲気で、子どもたちが楽しんでいる
面白いのは、折り紙クラブまであること。先生は日本語の折り紙プリントを配るだけで、あとは子どもたちが自分で工夫して楽しんでいます。先生は横で仕事をしているくらいの関与度ですが、子どもは「楽しい」と言っています。
つまり「試合に勝ちたい子」と「楽しみたい子」をきちんと分けることで、それぞれが満足できる仕組みになっているのです。
我孫子市の「部活の地域移行」も、この事例から大いに学べるはずです。

まとめ:我孫子市への提案
「部活の地域移行」は大切な課題です。
ですが、本当にやるべきは「マルチスポーツクラブ」を週末に開くことではありません。
- 試合志向の部活 → クラブチームへ
- 楽しむ志向の活動 → 地域クラブへ
目的別に移行先を整備し、費用や時間の負担を軽減する仕組みをつくることが、子ども·保護者·先生、みんなにとって幸せな形だと思います。
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